Abstract : |
僧帽弁疾患において, 手術前後に自転車型Ergometer使用による動的運動負荷を行い血行動態の変動を観察し, 狭窄症群(MS群)と閉鎖不全症群(MR群)との術前後の心機能(左室拡張末期容積:LVEDVI, 左室収縮末期容積:LVESVI, 左室駆出率:LVEF)の改善度の相違と, 運動負荷に対する血行動態の対応の相違(肺動脈圧:PAP, 心拍出量:CO, 心拍数:HR, など), 及び狭窄症群に対しては人工弁置換術(MVR群)と直視下交連切開術(OMC群)の術式の選択に関して検討した. 対象は安静時肺動脈収縮期圧(PAP)75mmHg以下の症例とし僧帽弁狭窄症32例, 僧帽弁閉鎖不全症10例の42例であった. MS群では術後LVEDVI, LVESVIは有意な変化は認めなかったが, LVEFは改善を示した. MR群ではLVEDVI, LVESVIは術後減少したが, なお正常値より高値を呈しており, LVEFは術後低下していた. 運動負荷に対する対応では, MS群では, 術前は1回拍出量(SI)が減少し心拍数(HR)を増加させる形で対応していた. MS群のMVR術後及びMR群のMVR術前後の負荷に対する対応は, SIは変化せずHRで心拍出量を増加させる対応を示した. 肺動脈圧(PAP)への影響では, 負荷に対しMS群で術前著明な上昇を示したが術後は群群とも改善を示した. OMC群とMVR群との比較では, 術後の左心機能ではOMC群でLVESVIの減少とSIの増加を認め, PAPの増大は残るものの心機能の改善ではOMC群の方が優れていた. |