アブストラクト(35巻7号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : "single-Valved Assist Device"の開発と左心補助効果に関する研究
Subtitle :
Authors : 木村壮介
Authors(kana) :
Organization : 自治医科大学胸部外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 35
Number : 7
Page : 992-1003
Year/Month : 1987 / 7
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 補助心臓としてのLA-Ao bypassにcounterpulsation(Cp)を加味した1 unitのdevice“Single-Valved Assist Device”(SVAD)を開発し, その特性及び補助効果を検討した. Deviceの基本構造は, 従来のbypass pumpから流出側弁を取り去り, 流入側の1個の弁とpulsatile chamberから構成され, bypass pumpとしての効率は劣るが, 流出側におけるaortaからの逆流により強力なsystolic unloadingを可能にしている. 基本特性を検討するための水槽実験から, 1)流出側弁がないために, deviceの拡張期には流入流出の両側より吸引が行われCpを伴ったbypassが可能である. 2)流出側における逆流の程度は, 血圧の上昇とともに増加する傾向を有し, 従って駆動条件が固定されていても, 「血圧低下に伴いbypass量が増加, 血圧上昇に伴ってbypass量は減少, Cpとしてのsystolic unloading効果が増強する」という特性を有している, 3)bypass pumpとしての効率向上のために流入側弁にはleakageの少ないものを選択する必要があるなどが判明した. 心筋梗塞犬に対し, SVADと従来のsynchronized LA-Ao bypassを施行, 補助効果を比較検討した結果, 同流量のnear-total bypass補助において, 1)SVADはtension time index(TTI)で示される左室の圧仕事量の軽減効果の上で非常に有効であり, 2)partial bypass下でのbypass流量の変動に対しては, synchronized LA-Ao bypassが従来の報告に一致し, TTIの減少効果が軽度のみであるのに対し, SVADではbypass流量増加に対応するTTIの減少効果が著明であった. 以上から, SVADは, 従来の方式と比べ, TTI軽減効果の上で, 自然心にとって原理的に有利な補助方式であることが判明した.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 左心バイパス, 補助心臓, Tension time index, Counterpulsation, Man-machine interaction
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