アブストラクト(35巻7号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 心臓悪液質(cardiac cachexia)の病態生理(第2報)-糖代謝と肝組織像の対比-
Subtitle :
Authors : 岡本交二, 橋平誠, 荻野均, 薗潤, 岡田行功, 宮本覚, 西内素, 秦紘, 立道清, 庄村東洋
Authors(kana) :
Organization : 神戸市立中央市民病院胸部外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 35
Number : 7
Page : 1004-1011
Year/Month : 1987 / 7
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 肝腫大のないnon-cachexia 7例をI群, 肝腫大を認めるnon-cachexia 7例をII群, cardiac cachexia(cachexia)9例をIII群に分類して, カタボリズムに陥ったcachexiaの病態生理を糖代謝と肝組織像より検討した. 1. 平均血糖曲線は, I群に比べII, III群ではすべての時間で有意に高値を示し, 平均IRI曲線は120分値が有意に高値で遅延過剰反応を示した. 平均IRG曲線は, II, III群では負荷高値に比べ抑制されなかった. 2. 50g OGTTによる血糖曲線の型は, I, II群では全例がParabolic型を示し, III群では6例がParabolic型, 3例がLinear型を示した. 3. 肝線維化の程度によりIII度に分類した. I度:中心静脈周囲の線維化(II群1例, III群1例)II度:線維化のbridging formation(II群4例)III度:肝硬変(III群3例). 4. 肝線維化がI, II度で, 血糖曲線がParabolic型のものは術後高高能は改善したが, うっ血性肝硬変に陥り, Linear型の2例は術後肝不全にて死亡した. 以上より, cachexia群におけるインスリン分泌は, 初期分泌は低いがその後, 遅延過剰反応を示した. これにもかかわらず耐糖能異常がみられるのは, 末梢の筋蛋白と脂肪における糖の利用低下とインスリンの拮抗物質であるグルカゴンの作用が優位となっているものと考えられた. また, うっ血性肝硬変に陥り, 血糖曲線がLinear型を示すものは肝機能予備力がなく, 開心術の適応限界と考える.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 耐糖能異常, インスリン遅延過剰反応, グルカゴン優位, うっ血性肝硬変, 肝機能予備力
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