| Authors ： |
岸本英文*, 松田暉*, 中埜粛*, 広瀬一*, 加藤寛*, 三浦拓也*, 佐野哲也*, 小川實**, 有沢淳***, 川島康生* |
| Abstract ： |
単心室に対する右心系バイパス手術（Fontan型手術5例並びにtotal cavopulmonary shunt手術5例）の手術成績を, 術前の心室機能の面より検討した. 手術時年齢は4～23歳（平均13歳）であった. 心室構造は2例が左室型, 8例が右室型であった. 9例に共通房室弁を, 1例に三尖弁のstraddlingを認め, 共通房室弁の閉鎖不全を右室型の4例に認めた. 全例が肺動脈閉鎖, 又は狭窄を伴っており, 9例に体動脈-肺動脈短絡手術を行っている. これらの症例を手術成功例7例（I群）, 術後2ヵ月以内に心不全死した3例（II群）に分け, 術前心室機能の面より比較した. 肺血流量指数, 肺動脈平均圧, 肺血管抵抗指数, 左右肺動脈平均断面積/正常右肺動脈断面積比の値は両群間に有意差はなかった. 心室拡張末期容積指数, 収縮末期容積指数, 心室駆出率, 心室拡張末期圧は両群間に有意差を認めなかった. 心筋重量指数も両群間に有意差を認めなかったが, I群の値が大きい傾向にあった. 心筋重量/心室拡張末期容積比はI群0.50～1.24g/ml（0.73±0.27）（平均±標準偏差）, II群0.28～0.48（0.39±0.10）で, II群の方が有意に（p＜0.05）小さな値であった. 収縮期壁応力の値はI群199～452mmHg（309±95）, II群439－882（596±248）で, II群が大きい傾向にあった. すなわち手術死亡例においては, 術前の容量負荷に対する心室壁の肥厚すなわち十分な心筋重量の増加を来しておらず, 収縮期壁応力が増大している状態にあった. |
