Abstract : |
ファロー四徴症(TF)や両大血管右室起始症(DORV)を伴う完全型心内膜床欠損症(complete AV canal)では, 心室中隔欠損(VSD)が, いわゆる, AV canal型VSDに加うるに, 更に大動脈高下まで拡大, 伸展している. このVSD閉鎖に際しては通常の右房経由では大動脈弁下欠損領域で十分な視野が得られないため, 気室切開を加え右房・右室の両方向から, コンマ様に特別に型どりされた大きなパッチを用いて閉鎖することとなる. 症例1は5歳の女児で, TFを伴うcomplete AV canal(Rastelli C型)であり, 症例2は2歳の女児で, DORV(subaortic VSD)を伴うcomplete AV canal(Rastelli C型)であった. いずれもコンマ様DacronパッチでVSDを, また, 心房中隔欠損は自己心膜パッチで閉鎖し, 更に, 症例1では右室流出路狭窄解除も行った. 術後心カテ所見はいずれも満足すべきものであり, 患児は術後34ヵ月及び30ヵ月の現在, 強心利尿剤などを服用せずに日常生活を送っている. また, TFを伴うcomplete AV canalの報告例を集計し検討を加えた. |