アブストラクト(35巻8号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : ACバイパス術遠隔期のグラフト開存性に及ぼす高脂血症の影響
Subtitle :
Authors : 阪越信雄, 小原邦義, 賀来克彦, 川副浩平, 小坂井嘉夫, 藤井尚文, 加瀬川均, 深谷幸雄, 鬼頭義次, 藤田毅
Authors(kana) :
Organization : 国立循環器病センター心臓外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 35
Number : 8
Page : 1083-1088
Year/Month : 1987 / 8
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 大動脈冠動脈バイパス術(ACBG)術後遠隔期の大伏在静脈グラフト(SVG)の開存性に及ぼす高脂血症(HL)の影響について検討した. 対象は, 当センターでACBGを施行した症例のうち, 術後早期(2ヵ月以内)と遠隔期(12ヵ月以降)との両時期に, グラフト開存性を検索した86例の, 173本のSVGである. 血中総コレステロール値(TC)≧250mg/dl, 血中トリグリセリド値(TG)≧150mg/dlの, 両方, 又は一方を満たせばHLと定義した. 対象を, 術前及び術後遠隔期の血中脂質をもとに次の3群に分類した. A群:術前HLを認めなかった群(83本), B群:術前はHLであったが, 遠隔期には血中脂質が正常となった群(24本), C群:術前・遠隔期ともにHLであった群(66本). これらの3群間で, 術中測定した流量, 吻合部冠動脈内径, 経過観察期間, 血中脂質, 遠隔期開存性について比較検討した. グラフト流量, 冠動脈内径, 経過観察期間は, 3群間で差を認めなかった. 術前の血中脂質についてみると, C群のTCはB群に比して有意に高値であった(p<0.05). 遠隔期グラフト開存率は, A群91.6%, B群95.8%, C群77.3%で, C群が他の2群に比較して有意に低かった(p<0.05). C群の2症例にグラフト閉塞に対する再手術を施行した. HL症例にACBGを施行した場合, 術後HLが存続すると, SVGの動脈硬化性変化が進行し遠隔期開存性は不良であるが, HLが改善されれば, 開存性は向上すると考えられた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : ACバイパス術, 遠隔期グラフト開存性, 高脂血症, グラフト動脈硬化
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