Abstract : |
体外循環のリンパ球, 特にT細胞に対する影響を見る目的にて, 体外循環症例8例(A群)及び, 胸部手術非体外循環症例4例(B群)に対し, リンパ球亜分画測定をモノクローナル抗体を用いて行った. 同時に, A群において血漿コーチゾル測定を行った. なお, 全例にステロイドは投与しなかった. A群では, T細胞, B細胞ともその絶対数の有意の減少が第1, 2, 3病日に認められた. 各亜分画/リンパ球比を見ると, B細胞性は体外循環終了直後に有意に減少, 第2病日には有意に増加した. 一方, T細胞比は体外循環終了時には減少せず, 第1, 2, 3病日に有意減少しており, 体外循環後のリンパ球減少はT細胞優位であり, 且つT細胞比減少との間に時間的なずれがあることが示された. T細胞亜分画の検討では, ヘルパー/インデューサーT細胞比が, T細胞比と同じく第1, 2, 3病日に減少しているものの, サプレッサー/細胞障害性T細胞比は有意な変動を示さなかった. すなわち, ヘルパー/インデューサーT細胞比減少がT細胞比減少の主因であると考えられた. 一方, B群ではリンパ球亜分画に有意な変動を認めなかった. 血漿コーチゾル値の測定では, 術後有意な変動を示さず, また, T細胞亜分画変動と直接相関を示す所見は得られなかった. |