アブストラクト(35巻8号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 右室型体心室をもつ複雑心奇形に対するFontan型手術の検討
Subtitle :
Authors : 阪越信雄*, 内藤泰顕**, 八木原俊克*, 山本文雄*, 礎部文隆*, 川田博昭*, 北川哲也*, 坂本哲*, 神谷哲郎***, 藤田毅*
Authors(kana) :
Organization : *国立循環器病センター心臓外科, **国立循環器病センター小児科, ***和歌山医科大学胸部外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 35
Number : 8
Page : 1119-1125
Year/Month : 1987 / 8
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 右室型心室を体心室とする複雑心奇形に対しFontan手術変法(右房-肺動脈吻合)を施行し心奇形の形態と手術成績, 手術手技などについて検討した. 対象は, 川島・小塚分類III型の単心室5例, 両大血管右室起始2例, 修正大血管転位1例の計8例で, それぞれ, 他の合併心奇形を有していた. 手術生存率は25%であり同時期にFontan型手術を施行した三尖弁閉鎖症(TA)9例の生存率89%に比して悪かった. 対象群とTA群との術前の血行動態のパラメーターに差はなく, 対象の種々の合併心奇形が, 手術成績の向上を妨げる原因の1つではないかと考えられた. 静脈還流異常を合併した5例中4例が死亡した. 静脈還流異常を合併すると, atrial septationの際に大きなpatchが必要になることが多く, 機能的左房へ張出したpatchにより房室弁流入障害を起こす可能性があり, 手術手技上の工夫が必要であると思われた. 両側SVCを合併した症例の中には, 一方のSVCを結紮することによりatrial septationが容易となるものがあり, 考慮すべきである. 死亡例の主な死因は, 術後早期からのLOSであったが, 中には術後管理の改善によって救命できたと思われる例もあり, 細心の注意をもって術後管理に当たることが大切と思われた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 右室型体心室, Fontan手術変法, 静脈還流異常, 両側上大静脈, 心房中隔造設術
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