Abstract : |
弁なしconduitによる静脈心室-肺動脈extracardiac conduit repairを受けた10例について, 平均3年の遠隔成績を心機能と運動機能の面から検討した. 疾患はPA+VSDが7例, CTGA+PS, 又はPAが3例で, conduitは9例に直径14~18mmのwoven Dacron graft を, 1例に直径10及び12mmのGore-tex graftを用いた. 術後遠隔期のNYHA臨床度はI度が9例, III度が1例であった. 心電図は全例洞調律, 心胸比はNYHA III度の1例が78%で, 他の9例は平均56%であった. 術後の心カテーテル検査では, NYHA I度の9例のmRAPは6.6±1.1mmHg, 収縮期RVPは46±8mmHg, RVPA収縮期圧較差は18±7mmHgであったが, RVEDPは10.3±5.6mmHgと高く, 拡張期PAPとRVEDPの差も-5.4±3.7mmHgとPAPの方が低かった. NYHA III度の症例ではmRAP, 収縮期RVP, RVEDP, 収縮期PAPはいずれも高く, 肺高血圧による右心不全の状態を示した. 自転車ergometerによる運動負荷試験を7例に行い, 正常児, TOFのtransannular patch repair症例と比較した. 運動耐久時間, 安静及び最大運動時の心拍数は, どちらも正常児より弁なしconduit例の方が低かったが, Transannular例とほぼ同じであった. 最大運動時の酸素脈と酸素消費量, 酸素脈と心拍数の関係では, 弁なしconduit例は正常児より低い値を示したが, Transannular例との間には大きな差は認めなかった. 以上より, 弁なしconduitによる静脈心室-肺動脈extracardiac conduit repairの遠隔成績は, 適応さえ選べばTOFのtransannular patch repairと変らず, 静脈心室流出路再建術として成り立つ術式と考える. |