アブストラクト(35巻8号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 多変量解析によるファロー四徴症根治術後血行動態の総合評価の試み
Subtitle :
Authors : 杉木健司, 安倍十三夫, 小松作蔵, 浅井康文, 泉山修, 塚本勝, 前川功二, 松崎智哉
Authors(kana) :
Organization : 札幌医科大学胸部外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 35
Number : 8
Page : 1170-1175
Year/Month : 1987 / 8
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 教室では同じ心筋保護法により過去4年間に行った4歳以上のTOF根治42例に連続生存を得た. そこで多変量データを総合して定量化の可能な主成分分析を中心に, 術後血行動態を左右する因子を検索するとともに, 各症例の術後血行動態の総合評価から手術手技改善の手掛りについて考察した. 対象症例は術後1ヵ月目の検査を終えた39例であり, このうち右室流出路再建に自己心膜による一弁付きパッチを使用した16歳未満の小児群25例と, ブタ心膜による一弁付きパッチを使用した年長者群14例の2群に分け, 両群の術後検査10項目について検討した. その結果, 年長者群は小児群に比して, 心係数, 肺動脈拡張期圧, 左室拡張終期容積の正常予測値に対する割合及び心拍数において, いずれも有意に低値を示した. また全症例の測定10項目に対する主成分分析の結果, 第1主成分は右室流出路狭窄解除の因子, 第2主成分は肺動脈弁逆流の因子であり, いずれも右室流出路再建に関する評価軸であった. この両主成分について各症例の主成分得点を算出し, その散布図を作成した結果, 年長者群は小児群に比して肺動脈弁逆流の点で全例不利であった. また現在の根治術式では両群とも流出路狭窄解除の不十分な症例が多く, 術式の改善が望まれた. なお, 第3及び第4主成分はそれぞれ右室容積及び心拍数の因子と解釈され, いずれも血行動態評価軸としての重要性が認められたが, 両者とも直接心内修復に関連したものでなく, 今回の解析から除いた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : ファロー四徴症, 根治術後血行動態, 多変量解析, 主成分分析
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