アブストラクト(35巻8号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 人工弁置換術後の感染性心内膜炎-11例の経験と再弁置換術の適応について-
Subtitle :
Authors : 青柳成明, 小須賀健一, 原洋, 柳泉, 島弘志, 大石喜六
Authors(kana) :
Organization : 久留米大学医学部第2外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 35
Number : 8
Page : 1216-1221
Year/Month : 1987 / 8
Article : 報告
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 1975年から1985年までに教室で経験したPVEは11例で, これは同期間中に弁置換術を受けた741例の1.5%に相当した. 年齢は16歳から56歳で, 男性7例, 女性4例であった. 早期発症例5例, 遠隔期発症例6例で, 弁置換部位では大動脈弁5例, 僧帽弁4例, 三尖弁及び肺動脈弁各1例であった. 起炎菌としては早期では表皮ブ菌とグラム陰性菌が, 遠隔期では連鎖球菌と表皮ブ菌が検出された. 表皮ブ菌は全体の半数を占めた. 表皮ブ菌の5例中2例とグラム陰性菌の2例が死亡した. 連鎖球菌の3例中1例は再弁置換術後新たな感染から失ったもので連鎖球菌以外の起炎菌によるPVEでは予後不良であった. 早期の4例に内科治療を行い表皮ブ菌の1例とグラム陰性菌の2例をPVEの合併症のため失った. 表皮ブ菌の1例に再弁置換を行ったが, 遺残心内膜炎から再度leakageを生じた. 遠隔期6例では2例に内科治療を行い表皮ブ菌による1例を塞栓症から失ったが, 連鎖球菌の1例は救命できた. 4例に再弁置換を施行し, 3例が生存した. 内科治療により治癒できた2例では心エコー図あるいは人工弁機能に異常所見は見られなかった. 結局, 早期5例では3例が, 遠隔期6例では2例が死亡し全体で45.5%の死亡率であった. 内科治療の6例では4例が, 内科治療に引き続き再弁置換を行った5例では1例が死亡した. 合併症のない連鎖球菌によるPVE以外, 特に心エコー図や人工弁機能に異常を示すものでは早期の再弁置換を考慮すべきである.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 感染性心内膜炎, 人工弁置換術後, 再弁置換, prosthetic valve endocarditis
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