アブストラクト(35巻9号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 食道癌術後の呼吸器感染発生の機序に関する細菌学的検討
Subtitle :
Authors : 佐田英信*, 大熊利忠*, 萩原直樹*, 本郷弘昭*, 岡村健二*, 近藤圭一郎*, 田平洋一*, 宮内好正*, 山根誠久**
Authors(kana) :
Organization : *熊本大学医学部第1外科, **熊本大学医学部中央検査部
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 35
Number : 9
Page : 1664-1670
Year/Month : 1987 / 9
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 食道癌術後の呼吸器感染発生の機序を検索する目的で, 胸部食道癌切除再建例及び心大血管手術症例の術後に経時的に唾液, 喀痰, 気道内, 胃管内, 空腸内の細菌学的検索を行った. その結果, 胸部食道癌術後では咽・喉頭の細菌が直接気道系へ侵入し肺炎・気管支炎を引き起こす経路と, 腸内細篠が空腸, 胃管を通って上行し, 誤嚥により気道系へ侵入する経路とこの両者が混在した形をとるものとに大別された. このうち上行性の感染が関与した場合は, これがグラム陰性桿菌による感染症が主体であるため, 臨床経過も重症となる危険性が高く, また全体での起炎菌もグラム陰性桿菌が多くを占めた事実から, 下部の消化管内の細菌のコントロールが重要と考えられた. そこで, アミノグリコシド系抗生物質の術前経口投与により腸内細菌のコントロールを試みた. 胃管内や空腸内の細菌の抑制効果は有意差としてあらわれなかったが臨床上は呼吸器感染症が減少した. 食道癌術後の呼吸器感染発生の予防のために胃管内細菌のコントロールを含めた対策が重要であると考えられた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 食道癌, 術後合併症, 呼吸器感染, グラム陰性桿菌, 化学療法
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