アブストラクト(35巻9号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 冠動脈バイパス手術に使用した内胸動脈の動脈硬化に関する組織学的検討
Subtitle :
Authors : 小林博徳, 北村惣一郎, 大山朝賢, 河内寛治, 高義昭, 森田隆一, 西井勤, 谷口繁樹, 関寿夫, 井上毅
Authors(kana) :
Organization : 奈良県立医科大学第3外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 35
Number : 9
Page : 1671-1676
Year/Month : 1987 / 9
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 内胸動脈(IMA)における動脈硬化症の頻度を知る目的にて, 冠動脈バイパス手術を受けた冠動脈硬化症の患者51例と川崎病の患者3例の合計54例でグラフトとして使用したIMA残余部の組織学的検討を行った. 更に, 動脈硬化度と年齢, 危険因子との関係などについて検討した. 動脈硬化の指標としてR=内膜/中膜の比を求め, 動脈硬化度をSimsらの報告を参考にして, grade I:R<0.1(insignificant), grade II:0.1≦R<1.0(mild), grade III:1.0≦R<3.0(moderate), grade IV:R≧3.0(severe)の4つに分類した. Rは最小0.05~最大0.96(平均0.22±0.25)であり, 硬化度別ではgrade I 24例(44%), grade II 30例(56%)であったが, 動脈硬化として有意であるgrade III, IVは認めなかった. grade IIの年齢57.1±5.8歳は, grade Iの年齢46.8±17.0歳より有意に高く, また年齢(X)とR(Y=logR)にはY=-1.3+0.0078X, r=0.277(p<0.05)の有意の相関がみられた. しかし, 年齢が高くなってもRそのものは低値にとどまる. 動脈硬化度と危険因子との間には有意の相関を認めなかった. 冠動脈バイパス手術のグラフトとしてIMA使用が不適切となる場合は極めてまれであり, IMAグラフトは危険因子とはほとんど無関係に, 高齢者においても使用可能であると思われる. 本報告は日本人におけるIMAの動脈硬化性病変の組織学的検討としては初めてのものである.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 内胸動脈, 動脈硬化症, 冠動脈バイパス手術, 危険因子
このページの一番上へ