アブストラクト(35巻9号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 原発性胸壁腫瘍の臨床的検討
Subtitle :
Authors : 安田雄司, 榎堀徹, 塙健, 小鯖覚, 二宮和子, 畠中陸郎, 松原義人, 船津武志, 池田貞雄
Authors(kana) :
Organization : 京都桂病院呼吸器センター
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 35
Number : 9
Page : 1719-1727
Year/Month : 1987 / 9
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 昭和56年6月から61年5月までの5年間に経験した原発性胸壁腫瘍9例について臨床的検討を行った. 性別では男性7例, 女性2例, 年齢は17歳から70歳, 平均41歳であった. 発見動機は胸部の異常陰影が6例, 腫瘤触知が2例, 胸痛が2例であった. 病理組織診断の内訳は神経原性腫瘍3例及び海綿状血管腫, 脂肪腫, 線維腫, 骨軟骨腫, 類骨骨腫, 骨肉腫の各1例で, 良性腫瘍8例, 悪性腫瘍1例であった. 治療は全例に外科的切除を行い, うち6例に開胸を行った. 開胸方法は前方腋窩切開が2例, 後側方切開が4例であった. 開胸した6例のうち腫瘍のみの摘出が2例, 肋骨の合併切除が4例で, 肋骨を1~3本切除した. 肋骨を合併切除した4例では胸壁再建を行い, Lyoduraによる胸壁欠損部の補填が3例, LyoduraとTracheal meshによる補填が1例であった. いずれも術後合併症は特に認めなかった. 骨肉腫の1例は切除1年後に局所再発のため再手術を行い, 再手術後4年の現在もなお再発なく健在である. また良性腫瘍の8例ではいずれも再発の徴候はみられていない. 胸壁腫瘍の術前検査として, CT及び骨シンチグラフィーは腫瘍の進展度や周囲臓器との関連などを検討するためには有効であったが, 質的な鑑別診断には有効でなかった. 胸壁腫瘍は術前の診断確定が困難であり, また悪性腫瘍も高率に認められるので, 積極的に外科的切除を行うべきである.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 胸壁腫瘍, 海綿状血管腫, 肋骨骨肉腫, 類骨骨腫, 胸壁再建
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