アブストラクト(35巻9号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : Fontan型手術後早期の血行動態と術後管理の検討-Fick法による心拍出量測定に基づいて-
Subtitle :
Authors : 玉木修治*, 公文啓二*, 高木勇*, 平田隆彦*, 山本文雄**, 磯部文隆**, 八木原俊克**, 内藤泰顕***, 藤田毅**
Authors(kana) :
Organization : *国立循環器病センターICU, **国立循環器病センター心臓外科, ***和歌山医科大学胸部外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 35
Number : 9
Page : 1728-1734
Year/Month : 1987 / 9
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : Fontan型手術を施行した三尖弁閉鎖1例, 右三型単心室3例の計4例を対象に, Fick法にて測定した心拍出量に基づき術後早期の血行動態及び術後管理について検討した. 心拍出係数(CI:y)と肺血管抵抗係数(PARI:x)にはy=77.870x-0.642(r=-0.91), CI(y)と全肺抵抗係数(TPRI:x)にはy=154.304x-0.680(r=-0.96)の回帰式が成立した. PARI(y)と体血管抵抗係数(SVRI:x)にはy=85.442+0.188x(r=0.68), CI(y)と平均左房圧(mLAP:x)にはy=3.044-0.149x(r=-0.47), CI(y)と中心静脈圧(CVP:x)にはy=4.340-0.151x(r=-0.69)の相関関係を認めた. 以上の結果から以下に挙げる結論を得た. (1)肺血管抵抗の低下によってもたらされる心拍出量の増加は肺血管抵抗が低いもの程容易に得られるが, それが高い症例ではその増加は軽微であるとともに著しい体血圧の低下を伴う. (2)左房圧は体心室の前負荷としても, また右心-肺循環系の後負荷としても重要な意味を持つ. (3)中心静脈圧は心拍出量を規定する肺血管抵抗と体心室機能を反映し, 術後管理において簡便で, 且つ重要な指標である. (4)十分な心拍出量を得るために中心静脈圧は全肺抵抗に勝る圧が必要であるが, 高値となると血漿の血管外漏出などによって必要な圧を保てない場合があり肺血管抵抗と左房圧を可能な限り低く保つ手術方法, 術中, 術後の管理が肝要である. (5)カテコラミン投与に際しては肺血管抵抗と体血管抵抗の両者を考慮し, 慎重に選択する必要がある. (6)術後胸水の貯留は全肺抵抗を増し血行動態に著しい悪影響を及ぼすので速やかにドレナージすべきである.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : Fontan型手術, Fick法, 心拍出量, 血行動態, 術後管理
このページの一番上へ