Abstract : |
hollow-fiber型血液濃縮装置を用いた限外濾過併用20例(U群)と非併用20例(N群)の成人弁疾患無血体外循環とを比較し, 限外濾過併用法が希釈率のコントロールを含め無血体外循環の安全性の向上, 適応拡大に益するか否を検討した. 無血体外循環法は教室の従来報告している方法で行い, 限外濾過は泉工医科製MPF-M(microporous polypropylene hollow-fiber, 1.0m2)を用い体外循環中より可及的に余剰水分を除去し, 体外循環終了後は回路内に残った灌流液を濃縮し還血した. 使用した限外濾過装置は中空糸の材質に浸水性に加工したpolypropylene膜を用いた. housingに陰圧をかけ水分を濾過する点と, アルブミンに相当する分子量60,000台のものまで濾過する点に特徴がある. 充填液量は両群間に差はなかった. 心筋保護液量はU群で2,733±1,312mlとN群の986±513mlより多かったが, 終了時, U群の希釈率は36.0±9.8%でN群の44.4±6.1%より有意に低値であった. Hctの推移はU群では体外循環時間の経過に従い増加した. 血小板数の推移には両群間に差はなく, アルブミンは体外循環終了後1時間時ではN群より高値(3.73±0.39g/dl)となった. 限外濾過装置を無血体外循環に併用することで, より多量の晶質心筋保護液の使用が可能となり, 希釈率のコントロールにも有用であると考えられた. |