アブストラクト(35巻10号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 超音波外科用吸引装置(CUSA)を用いた冠状動脈剥離法の安全性に関する実験的検討
Subtitle :
Authors : 中島英洋, 三井利夫, 朝倉利久, 堀原一
Authors(kana) :
Organization : 筑波大学臨床医学系外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 35
Number : 10
Page : 1849-1855
Year/Month : 1987 / 10
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 超音波外科用吸引装置(CUSA)を脂肪組織に覆われた冠状動脈中枢側の剥離に応用し, その安全性について組織学的検索を含めて検討した. 雑種成犬4頭を用い, 心拍動下にCUSA出力を段階的に変化させ, 各出力ごとに左前下行枝を末梢側(I群)及び中枢側(II群)より長さ2cm, 半周ずつ剥離を行った. CUSAによる冠状動脈剥離は, 周囲組織からの出血が少なく容易に行えた. しかし, 末梢側では伴走静脈を損傷し出血が見られることがあった. 光顕所見においては, 血管外膜の損傷はみられなかったが, 弱出力では広範な血管内膜の剥離が認められることがあり, 強出力では血管内膜の一部に剥離がみられることがあった. この原因の1つは, 弱出力では剥離操作を繰り返して行うためと思われた. また各出力のうちで剥離操作時間の長かった部位では血管中膜の軽度剥離がみられることがあり, 操作時間との関連性が推測された. 周囲心筋には出力の増加にしたがい, 壊死収縮帯の程度及び範囲が増加した. I, II群間では各所見にほとんど差は認められなかった. CUSAを冠状動脈剥離に用いるときには, CUSAチップが直接血管に触れると弱出力でも血管内膜の損傷を引き起こすことがあるので, 剥離範囲は必要最小限にしたほうがよく, 冠状動脈の局在の確認にとどめるべきであると思われた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 超音波外科用吸引装置, 冠状動脈バイパス術, 冠状動脈剥離
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