Authors : |
加畑治*, 荒木純一*, 西連寺完茂*, 原毅*, 横山斉*, 小野一之*, 松木克雄*, 福田守邦**, 柳沼厳弥***, 八巻重雄*** |
Abstract : |
新生児, 乳児期早期の大動脈縮窄症(以下CoA)10例, 大動脈弓離断症(以下IAA)4例, 計14例に対し外科治療を行った. CoAの手術時平均年齢は42日, IAAは68日であった. CoAはVSD及びPDAを伴い, うち2例は各々大血管転位症, 単心室を合併していた. IAAはCeloria-PattonのA型が2例, B型が2例で, 全例VSDを伴い太いPDDTを形成していた. 診断は初期のCoAの3例及びIAAの1例に心カテーテル検査を行ったが, 他は超音波断層法と左右上肢からの逆行性大動脈造影だけで手術を行った. 一期根治手術はCoAの1例のみに行い, 他はすべて二期手術とした. CoAの縮窄部修復法は端々吻合法を1例に, 鎖骨下動脈フラップ法を8例に用い, 1例は放置した. IAAに対する手術々式はA型にはBlalock-Park法を, B型にはPTFEグラフトによるバイパス法を用いた. 初回手術ではCoAの一期根治例と大血管転位症合併例の2例を, IAAは1例(A型)を失った. 二期的根治手術はCoAの2例, IAAの3例に対して行ったが, 各々1例を失った. 本症候群に高頻度に合併するといわれる左室流出路狭窄(LVOTO)は死亡した5例のうち3例に認められ, 治療上の重要な問題点と考えられた. 術後遠隔期の再狭窄はCoAの端々吻合例の1例とIAAのBlalock-Park法の1例に認められた. 鎖骨下動脈フラップ法を用いた例は現在のところ, 再狭窄は認めていない. 新生児, 乳児期早期のCoA及びIAAに対しては現時点では二期手術の方が救命率が高いと考え, その方針としているが, 前述したLVOTO合併例は初回手術後も心不全が進行するので, 一期根治あるいはそれに近い方法を行わなければ救命できないと考えられた. |