Abstract : |
近年, 心筋梗塞に伴う合併症に対する外科的治療は, 積極的に行われているが, 手術成績はいまだ満足すべきものとは言えない. 合併症の中でも心室自由壁破裂は, 発症が劇的且つ予測しがたいため, 救命は困難とされてきたが, 心破裂発症による心タンポナーデ状態よりElectromechanical dissociationに至るまでには, ある程度の時間的経過を認める症例があり, その時点での早期診断, 早期外科的治療によってのみ救命可能である. われわれは現在までに4例の自由壁破裂手術症例を経験した. 年齢は63歳~76歳平均68歳, 男性1例女性3例であった. 梗塞部位は下壁, 後側壁, 前壁, 前側壁, 各1例であり, 心筋梗塞発症より心破裂までの期間は, 24時間以内3例, 48時間以内1例であった. 診断法は心断層エコー法によるもの2例, 心断層エコー法及び心嚢穿刺によるもの2例であった. 補助手段として大動脈内バルーンパンピング法(以下IABP)及び体外循環を3例に用いた. 術式としては, 単純縫合を3例に, 梗塞部部分切除及びパッチ置換術を1例に行い, 単純縫合例1例とパッチ置換術例1例を救命した. 術前管理として, 心嚢穿刺とIABPが有用であり, 術式としてはパッチ置換術が有用と思われた. |