アブストラクト(35巻12号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 大動脈弁輪狭小例の術後遠隔成績の比較検討-14年間, 68例の検討-
Subtitle :
Authors : 北村昌也, 福島靖典, 中野清治, 今村栄三郎, 遠藤真弘, 橋本明政, 林久恵, 小柳仁
Authors(kana) :
Organization : 東京女子医科大学日本心臓血圧研究所循環器外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 35
Number : 12
Page : 2128-2135
Year/Month : 1987 / 12
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 1972年1月から1985年12月までの14年間に, 大動脈弁置換, 又は二弁置換を行った弁膜症例809例のうち, 通常の弁置換手技では21mm以上のサイズ弁を縫着できない大動脈弁輪狭小例68例(8.4%)を対象とし, 弁輪拡大例24例(I群)と非拡大例44例(II群)に分けてactuarial methodにより比較検討した. 早期死亡(術後30日以内)は, I群:24例中1例(4.2%), II群:44例中7例(15.9%)であり, 早期死亡率は非拡大群で高い傾向がみられた(p<0.10). 早期死亡の原因は, II群の7例中6例が低心拍出量症候群(LOS)であったのに対して, I群ではLOSによる死亡はなかった. 術後成績をactuarial survivalでみると, I群は術後8年で89%, II群は10年で72%と, 拡大群の方が良好であった(p<0.01). 手術死亡を除いたactuarial survivalでは, I群は術後8年で94%, II群は術後10年で86%と, 拡大群で高い傾向を示した. 一方, 遠隔死亡の原因では, 心不全死5例全例が非拡大群であった. 術式別のactuarial survivalでは, I群の各術式がII群の対応する術式に比べて良好であった. 弁膜及びサイズ別のactuarial survivalでは, 実際の弁口面積が小さいほど低くなる傾向がみられた. 遠隔期における全体の血栓塞栓症発生率は, 0.8%/patient yearで, 全体の再手術率は, 0.4%/patient yearであった. 以上の結果より, 大動脈弁輪狭小例に対する大動脈弁輪拡大及び左室心尖-大動脈バイパスは, 有用な術式であると思われた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 狭小大動脈弁輪, 段階的大動脈弁輪拡大, 左室心尖-大動脈バイパス, 弁輪部の残存狭窄, actuarial survival
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