アブストラクト(35巻12号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 高度肺高血圧症を伴う心室中隔欠損症及び動脈管開存症の肺生検診断による手術適応決定について
Subtitle :
Authors : 八巻重雄*, 羽根田潔*, 柳沼厳弥*, 秋元弘治*, 秋野能久*, 伊藤孝*, 鈴木康之*, 石沢栄次*, 堀内藤吾*, 尾形寛**
Authors(kana) :
Organization : *東北大学医学部胸部外科, **東北大学医学部小児科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 35
Number : 12
Page : 2143-2151
Year/Month : 1987 / 12
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 高度肺高血圧症を伴う心室中隔欠損症, 動脈管開存症及びその合併症85例を対象として, 病理組織学的な手術適応基準の作製と実際の肺生検診断を行った. 昭和55年以前の49例を用いて肺生検診断基準を作製した. その中の11例は術直後肺動脈圧が下がらず手術死あるいは遠隔死したが, 肺小動脈の閉塞所見とその末梢の中膜の菲薄化を認めたことからこの2つの組織学的所見を併せもつ症例は“絶対的手術不適応”とし, まず手術適応から除外した. その他の手術死亡例10例と生存例26例の36例に対してはIPVD法を用いて閉塞性肺血管病変を数量的に比較解析し手術適応基準を定めた. その結果, 心疾患の間に差はなかったがダウン症と非ダウン症との間に差を認め, ダウン症ではIPVD 2.2以下, 非ダウン症では2.1以下が手術適応であった. 呼吸器系, 肺動脈系に著しい低形成を有し, 術後遠隔死した2例では術後の低酸素血症によると思われる進行性肺血管病変を認めたので, その所見を持つ症例は手術不適応とした. 上記の適応基準にしたがって昭和56年以降の36例に対して開胸肺生検診断を行った. 36例中19例を手術適応と診断し, 18例に対して根治手術を行ったがその中に手術死亡例及び遠隔死例はなかった. 絶対的手術不適応11例を含む17例を手術不適応と診断したが, 現在生存している16例を経過観察中である. IPVD法を用いた診断基準によりHeath-Edwards分類4度以上でも6例を手術適応と診断, 手術施行したが, 全例経過良好である. 組織学的な手術不適応例と適応例の血行動態値との検討では肺血管抵抗値が最も信頼性があり, 8単位以上が肺生検診断の適応とされた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : VSDの手術適応, PDAの手術適応, 閉塞性肺血管病変, 肺生検診断, 肺高血圧症
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