アブストラクト(35巻12号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 僧帽弁置換術後遠隔期における心機能の評価-心エコー法を中心に多段階運動負荷試験による心機能指標の経時的変化について-
Subtitle :
Authors : 永江宣明, 鷲尾正彦
Authors(kana) :
Organization : 山形大学医学部第2外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 35
Number : 12
Page : 2152-2160
Year/Month : 1987 / 12
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 僧帽弁単独疾患に対してMVRを行った症例20例(年齢54歳)を対象とし, 4分間ごとに25W, 50W, 75Wと負荷する自転車エルゴメーター連続多段階負荷試験を行い, 心エコー法を中心に, 術後遠隔期の心機能を検討した. 心拍数(HR)は安静時76beats/min, 25W時98, 50W時120, 75W時132と負癖対応して有意に増加していた. 左室末期径(Dd)安静時41.3mm, 25W時41.8, 50W時40.4, と変化無かったが, 75W負荷で39.0と有意に減少していた. 拡張末期容積係数(LVEDVI)は安静時, 25W時, 50W時各々47.0ml/m2, 49.1, 45.0, と変化無かったが, 75W負荷で37.0と有意に減少していた. 心拍出係数(CI)は安静時, 25W時, 50W時, 75W時各々2.51/min m2, 3.4, 3.9, 4.0で, また平均左室内周伸展速度(mVcf(RF))では各々2.8circ/sec, 3.4, 3.9, 4.0と負荷に対応して増加していたが, 75W負荷での増加率は両者とも低値にとどまった. 平均左室内周短縮速度(mVcf)は, 安静時1.2circ/sec, 25W時1.3, 50W時1.5, 75W時2.1と負荷に対応して順調に反応しており, また, 一回平出係数(SVI)は負荷量増加に伴う変化は認められなかったことより, 75W負荷時において心機能の急速な破綻は無いと考えられた. しかし, 120beats/minを越えるようなHRでは, 有効弁口面積の増加率は低値に滞り, また流入時間の短縮のため, 拡張期流入障害を来し, 75W負荷でDd, LVEDVIは減少したと考えられた. 同様の理由で75W負荷におけるCI, mVcf(RF)は50W負荷時に比べてわずかな増加しか示さなかったものと考えられた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 僧帽弁置換術, 運動負荷試験, 心エコー法
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