アブストラクト(36巻1号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 小児心臓手術後乳糜胸の治療
Subtitle : 原著
Authors : 高山鉄郎, 伊藤健二, 大川恭矩, 長田信洋, 小石沢正
Authors(kana) :
Organization : 神奈川県立こども医療センター胸部外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 36
Number : 1
Page : 1-7
Year/Month : 1988 / 1
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 小児心臓手術913例のうち17例(1.83%)に術後の乳糜胸を経験した. 全例良好な予後を得たが治癒までの期間は8~106日にわたり, 手術後22日以内に治癒した早期治癒群11例と36日以上を要した難治群6例とにわけられた. この両群を比較検討し早期治癒への治療方針を考案した. 結果:1. 手術時年齢;2歳代以下では11例中9例が早期治癒し, 一方5歳以上の5例中4例が難治群に属した. 2. 手術内容;外科的損傷が原因と考えられる開胸手術例8例, その他の要因も原因として考え得る正中切開例9例と両者はほぼ同数でその治癒経過にも有意差は認めなかった. 3. 治療経過, a. 乳糜排液療法;早期治癒群では8例で発症後1~3日以内に開始されたのに対し難治群では2週間以上も治療開始の遅れた症例など初期治療の不十分な例が認められた. b. 食餌制限療法;1例を除いて全例に行われ治療開始は発症後早期治癒群平均3.4±4.40日, 難治群平均15.8±14.71日で難治群には治療開始の著しく遅れた症例が認められた. 低脂肪食療法は9例に行い7例治癒, MCTは3例に行い2例治癒, 中心静脈栄養法は8例に行い6例に治癒した. 中心静脈栄養法にても治癒しなかった2例に対して術後41日, 75日にそれぞれ手術的療法を行い1例では著効を認めた. 4. 栄養管理;保存的療法中の栄養管理は全例良好に行われた. 以上より小児心臓手術後の乳糜胸に対しては発症直後よりの積極的保存的治療が早期治癒に最も重要であると思われた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 乳糜胸, 小児心臓手術, 栄養管理, 治療開始時期, 保存的治療
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