アブストラクト(36巻1号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 開心術における細胞性免疫動態 ―リンパ球のfunctional subsetsの変動―
Subtitle : 原著
Authors : 村山祐一郎, 山岸久一, 神吉豊*, 和田行雄, 白方秀二, 大賀興一, 細川豊史**, 岡隆宏
Authors(kana) :
Organization : 京都府立医科大学第2外科, *京都府立与謝の海病院外科, **京都府立医科大学麻酔科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 36
Number : 1
Page : 8-15
Year/Month : 1988 / 1
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 体外循環下開心術における細胞性免疫の変動を知る目的で, 開心術症例10例を対象に白血球数, 好中球数, リンパ数, またmonoclonal抗体を用いたsingle, あるいはtwo color analysisによりリンパ球のsubpopulation, 及びfunctional subsetであるT helper(Th), T inducer(Ti), T cytotoxic(Tc), T suppressor(Ts)を開心術の前, 中, 後を通じて経時的に測定し検討し, 更に健常人との比較をも併せて検討した. 白血球数, 好中球数は体外循環2時間まではほとんど変化なく経過したが, 体外循環終了時には術前の3~4倍に達した. 一方リンパ球数は大きな変動は認めなかった. Leu 2a陽性細胞(Tc, Ts)は麻酔導入時より増加したが, 術後3日目には最も減少した. 逆に, Leu 3a陽性細胞(Th・Ti)は麻酔の導入とともに減少しはじめたが, 術後7日目にはほぼ術前に回復した. two color analysisでは, Tc, Thは手術前後を通じてあまり大きな変動は認めなかったが, Tsは麻酔導入時より増加し, Leu 2a陽性細胞を類似した変化をたどった. また, Tiは逆に麻酔導入とともに減少傾向を示し, Leu 3a陽性細胞に類似した経過をたどった. Th/Ts比は体外循環の開始とともに下降したが術後3日目には術前0.83±0.48から2.70±1.60に上昇し, 術後7日目にはほぼ術前に回復した. 以上, 体外循環下開心術においては, Tsの増加に起因して, 細胞性免疫能が抑制されるが, 術後7日目にはほぼ術前の状態に回復すると考えられた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 開心術, 細胞性免疫, モノクローナル抗体, リンパ球サブセット
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