アブストラクト(36巻1号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 冠動脈再建手術における心筋保護法 ―静脈グラフトの吻合順序に関する検討―
Subtitle : 原著
Authors : 萩原俊彦, 庄司佑
Authors(kana) :
Organization : 日本医科大学胸部外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 36
Number : 1
Page : 45-54
Year/Month : 1988 / 1
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : A-Cバイパス術において, 静脈グラフトの吻合順序の差異が左室心筋に与える影響を犬実験にて検討した. 雑種成犬を心筋保護液注入直前の左冠動脈前下行枝(LAD)の完全閉塞と同回旋枝(LCX)のcritical stenosis作製の有無及びそれらの時間から, 対照群:冠動脈無処置群, AI群:LCXに20分間critical stenosisを作製, AII群:LCX40分間critical stenosis, LAD20分間閉塞, B群::LCX60分間critical stenosis, LAD50分間閉塞に分類し, 40分間の大動脈遮断及び大動脈基部よりの保護液注入による心筋保護を行った. A群では臨床上, 中枢側吻合(大動脈グラフト吻合)を大動脈遮断前に施行し, 大動脈遮断中に末梢側吻合(冠動脈-グラフト吻合)を行った保護液灌流状態を, B群では大動脈遮断中に末梢側吻合を行い遮断解除後に中枢側吻合を行った状態を想定した. またAI群では臨床上, 大動脈遮断, 保護液注入とともに吻合部冠動脈切開口から末梢側に保護液を注入した保護液灌流状態を, AII群では注入しなかった状態を想定した. 直腸温, 右隔壁温を一定とした際の左室前後壁温の経時的変化, LV dp/dt, LVEDP, LVSWI及び心室壁各部位における高エネルギー燐酸化合物の変化率を求めた. 左心機能及び左室壁高エネルギー燐酸化合物温存の程度は, 対照群, AI群, AII群, B群の順に不良であり, 左室壁温度変化と良く相関した. これらの結果より中枢側吻合を大動脈遮断解除後に行う吻合手順は心筋保護上不利であるとともに, 例え中枢側吻合を遮断前に行う手順においても, 冠動脈狭窄, 閉塞部位末梢側心筋に対しより効果的な心筋保護手段をとるべきであると考える.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : A-Cバイパス術, 心筋保護法, 静脈グラフトの吻合順序, critical stenosis
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