アブストラクト(36巻1号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 開心術後鎮痛療法としての笑気使用について
Subtitle : 原著
Authors : 土田博光, 矢尾善英, 石川幹夫, 工藤龍彦, 古川欽一*, 高橋雅俊*
Authors(kana) :
Organization : 東京医科大学八王子医療センター心臓血管外科, *東京医科大学外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 36
Number : 1
Page : 55-62
Year/Month : 1988 / 1
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 開心術後の鎮痛, 鎮静療法としての笑気の適否を評価するため, 開心術症例32例に術後人工呼吸器使用中20~60%の笑気吸入を行い, その循環系に与える影響, 鎮痛, 鎮静効果などについて検討した. 検討の結果, 以下の結論が得られた. 1. 笑気使用開始初期(1時間後)における循環系に与える影響として, 橈骨動脈圧, 心拍数, Pressure-Rate Product, 心係数の低下が観察されたが, 肺動脈圧, 全肺血管抵抗, 全全身血管抵抗, 一回心拍出係数には有意な変化は見られなかった. これらの所見は, 笑気の鎮痛, 鎮静作用により交感神経緊張状態が解除されたことによる間接的な効果と, 笑気自体の純粋な効果の総合された結果である. 2. 人工呼吸器使用中長時間にわたり笑気を使用することの循環系に与える影響は少なく, 笑気の循環系への影響は, むしろ使用開始初期に注意すべきである. 3. 60%以下の笑気吸入は, 心電図上一定のST変化を起こすほどの影響を心臓に与えることはない. 4. 笑気に不整脈催起性はなく, むしろその十分な鎮痛, 鎮静効果による間接的な不整脈抑止効果が認められる. 5. 20~60%の笑気吸入は, 少量の鎮静剤の併用で, 十分な効果を期待し得る有用な術後鎮痛, 鎮静療法である. 6. 但し, 無作為に使用すべきではなく, 重症の低心拍出量症候群, 重症肺高血圧症, 冠動脈疾患などへの適応の決定は慎重でなければならない.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 笑気, 開心術術後管理, 術後鎮痛療法, 人工呼吸器, 心機能
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