アブストラクト(36巻1号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 人工心肺使用時の白血球数, 及び顆粒球エラスターゼ値の変動
Subtitle : 原著
Authors : 島貫公義, 浜田修三, 櫻林郁之介*
Authors(kana) :
Organization : 福島県立会津総合病院外科, *自治医科大学臨床病理
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 36
Number : 1
Page : 83-91
Year/Month : 1988 / 1
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 人工心肺使用下開心術, 84例について人工心肺使用中の白血球数変動を術前ヘマトクリット値にて補正し, 検討した. 更に, 20例について顆粒球エラスターゼ値の変動, 12例に術前, 術後α1-アンチトリプシン値の測定を行った. 人工心肺使用中の白血球数変動は3群に分けて検討し, 全例において白血球数の低下を来すわけではなかった. 血液希釈率の高いものほど白血球数の低下が少なく, また気泡型肺に比べて膜型肺において低下傾向を示した. 顆粒球エラスターゼ値は人工心肺使用に伴い経時的に増加傾向を示した. 使用後の値は術前より有意に増加し, α1-アンチトリプシン値は人工心肺使用術後に術前より有意に低下した. 呼吸不全を示した症例は, 白血球数低下群において認められ, 顆粒球エラスターゼ値の増加, α1-アンチトリプシンの術後低下が著しかった. 人工心肺使用に伴い, 白血球の破壊を来しプロテアーゼの1つである顆粒球エラスターゼを放出し, 更にその阻害蛋白であるα1-アンチトリプシン値の低下を来し, これらによる肺組織障害が発症し, 呼吸機能低下を引き起こすものと思われた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 顆粒球エラスターゼ, 人工心肺, α1-アンチトリプシン, 白血球, 呼吸障害
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