Abstract : |
心血管造影でバルサルバ洞直下に, 左室から右室流出路に向かう小さなJet, 大動脈弁逸脱による軽度大動脈弁逆流などKirklin I型VSDと思われる臨床所見を呈した7歳男子で, VSD手術を施行したところ, VSDは円錘中隔全欠損(GoorのInfundibular VSD IV型)であった. 右室流出路後壁には室上稜を含んで筋組織はなく, 大動脈の位置が低いためにVSDのほとんどはバルサルバ洞壁でふさがれ, 実際の短絡孔は三尖弁中隔尖弁輪に接した少さいもので, しかも二尖大動脈弁の一弁尖が逸脱してさらに小短絡となってKirklin I型VSDに類似した所見を呈したけうな症例であった. 肺動脈切開からの到達法で, 三尖弁中隔尖弁輪から肺動脈弁直下までパッチを当て, 短絡孔の閉鎖と, 膨隆しているバルサルバ洞壁に裏打ちする形とし, 経過良好である. 円錘部心室中隔欠損症(Infundibular VSD)のうち, 欠損が肺動脈弁下にあるKirklin I型1)は本邦で多い型の心室中隔欠損症(VSD)といわれているが, 小短絡であっても大動脈弁閉鎖不全症(AR)へ進行する可能性もあり, 診断技術の進歩と相まって, 最近は比較的早期に手術される日常的心疾患といってよい. |