アブストラクト(36巻1号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 左室流出路―大動脈基部の不連続を来した大動脈炎症候群の再弁置換の1例
Subtitle : 症例
Authors : 大久保正, 金子兼喜
Authors(kana) :
Organization : 明和会中通病院胸部外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 36
Number : 1
Page : 119-123
Year/Month : 1988 / 1
Article : 報告
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 左室流出路―大動脈基部の不連続性を来すことは, 感染性心内膜炎による弁輪部膿瘍を原因とすることが多く, 大動脈炎症候群による症例の報告は少ない. 今回われわれは大動脈炎の再燃のため再弁置換を要した症例にこのような経験したので報告する. 症例は40歳男子で, 以前に嚢状腹部大動脈瘤切除, 開口部縫合閉鎖, 並びに大動脈弁置換術を受けていた. 昭和60年9月, 人工弁縫合不全となり, 緊急開心術を施行したが, 弁下に組織欠損を認め, 左室流出路―大動脈基部の不連続性が明らかであった. 左室流出路に挿入した弁つきコンデュイットの縫合糸は心房, 心室中隔を貫通させて縫着, Bentall法に準じて冠血行を再建し良好な結果を得た. かかる症例においては, 組織欠損のため本来の弁輪部への人工弁の固定は困難であり, 弁つきコンデュイットを左室流出路に挿入し中隔を貫通させて縫着することで良好な固定が得られると思われた. 大動脈弁輪部の破壊的変化により弁周囲組織に及ぶ組織欠損を認めるような症例, すなわちFrantzら1)の言う左室流出路―大動脈基部の不連続(left ventricular-aortic discontinuity)を呈するような症例における弁置換は, 人工弁縫着部のtranslocationなど人工弁の固定に特別な配慮を必要とする.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 大動脈炎症候群, 左室流出路―大動脈基部不連続, Bentall手術
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