Abstract : |
33歳の男性. 心不全及び胸部X線像の異常陰影を指摘され入院した. 心血管造影ではSellers分類III度のARを示すannuloaortic ectasia(以下AAE)を呈し, また大動脈は左鎖骨下動脈分岐部直下で遠端となっており, 下行大動脈は側副血行によって造影された. AAEを伴った大動脈縮窄症極型, あるいは大動脈弓離断症と診断した. composite graftによる上行大動脈再建術及びcomposite graftから腹部大動脈への人工血管によるバイパス術を予定したが, Cabrol法のみしか施行し得ず, 腎不全を併発し術後11日目に失った. 剖検では縮窄部完全閉鎖の大動脈縮窄症極型であり, 心筋は著しい肥大を示し心重量は860gであった. 33歳の年長まで原疾患を指摘されることなく経過した結果, 著しい心不全に陥ったものと考えられた. 大動脈縮窄症極型にAAEを合併したまれな症例を経験したので報告した. 大動脈縮窄症(CoA)に合併することの多い動脈瘤の発生原因はいまだ明確にされていない. 最近われわれは, CoAの極型(縮窄部完全閉鎖)にannuloaortic ectasia(以下AAE)を合併した症例を経験したので, 文献的検討を加え報告する. |