Abstract : |
Morgagni孔ヘルニアは, 横隔膜胸肋三角部より腹腔内臓器が胸腔内へ脱出するまれな疾患である. われわれは本症の3例を経験したので文献的考察を加えて報告する. 3例ともに検診で発見された高齢女性(71歳, 77歳, 80歳). 症例1, 2が肥満者, 症例1, 3が分娩6回の多産婦であった. 術前に確診を得る方法として, 横行結腸を内容とした2例では経口胃腸造影が有用であった. 大網脱出例ではCTスキャン, 腹腔動脈造影を施行したが疑診にとどまった. 横行結腸脱出の1例には経腹的に, 大網脱出例には経胸的に手術を施行した. 前方からの開胸法はMorgagni孔が真近に現れ, ヘルニアのうの処理, 裂孔閉鎖が容易に行える非常に有用な到達法と思われた. 80歳の症例は高齢と無症状を理由に手術を拒否され経過観察中である. われわれは比較的まれな疾患であるMorgagni孔ヘルニアの3症例を経験した. ヘルニア内容は横行結腸2例, 大網のみ1例であった. 3症例を呈示し, 主として, 確定診断を得るための術前検査法及び手術時の到達経路について文献的考察を加えて報告する. |