アブストラクト(36巻2号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : ファロー四徴症根治術後肺動脈弁逆流の検討
Subtitle : 原著
Authors : 前田正信, 阿部稔雄
Authors(kana) :
Organization : 名古屋大学医学部胸部外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 36
Number : 2
Page : 153-160
Year/Month : 1988 / 2
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : ファロー四徴症根治手術後の肺動脈弁逆流の心機能に対する影響を知るために, 術後1ヵ月時に肺動脈造影検査を行った33例を対象とし, 肺動脈弁逆流程度を0~IV度の5段階に分け, 諸因子について検討を加えた. 術後心胸郭比は術前よりすべて大きくなっており(p<0.01), この拡大の主因は左室拡張末期容積にはなく右室拡張末期容積の拡大に相関があった(r=0.597). また右室拡張末期容積の拡大の原因は術後右室左室収縮期圧比には関係なく肺動脈弁逆流にあると考えられ. その程度との間に正の相関関係(r=0.674)が認められた. 肺動脈弁逆流の程度は術前PA-index(左右肺動脈断面積和を体表面積で除した値)が小さい程(r=-0.400)及び術前肺動脈弁輪径比が小さい程(r=-0.500), また術後肺動脈弁輪径比が大きい程(r=0.480)大きくなると考えられた. 肺動脈弁輪を温存する術式を使用した群は肺動脈弁輪越えパッチ(単弁パッチの有無に無関係)を使用した群に比し有意に肺動脈弁逆流が少なく(p<0.01), 右室拡張末期容積も小さかった(p<0.05)が, 右室左室収縮期圧比には差はなかった. 但し, これは肺動脈弁輪径がPacificoの基準より大きい症例のみが弁輪温存の適応となったので両者を同一には比較できないのは当然であり, 基準を大きく下回る症例の肺動脈弁輪を温存することは避けなければならない. しかし, その境界領域にある症例は弁上部及び弁下部(右室流出路)に別々にパッチを当てることにより弁輪温存が可能な場合が多く, 弁輪拡大しなくてはならない症例は拡大を基準までに止どめることが重要と考えられる.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : ファロー四徴症, 肺動脈弁逆流, 右室拡張末期容積, 肺動脈弁輪径比, PA-index
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