アブストラクト(36巻2号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 単心室症の心室機能に関する研究 ―特に心筋重量から見た心室病型の特徴について―
Subtitle : 原著
Authors : 佐野哲也, 小川實, 広瀬一***, 松田暉*, 中埜粛*, 谷口和博*, 萱谷太, 有沢淳**, 小塚隆弘**, 川島康生*
Authors(kana) :
Organization : 大阪大学医学部小児科, *大阪大学医学部第1外科, **大阪大学医学部放射線科, ***岐阜大学医学部第1外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 36
Number : 2
Page : 179-187
Year/Month : 1988 / 2
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 房室弁逆流のない左室型単心室症(以下左室型)7例, 右室型単心室症(以下右室型)15例の計22例の単心室症患児を対象に, 心室造影像から心室容積, 駆出率, 心室壁厚及び心筋重量(VM)を求め, 心室病型別に比較検討した. 心室拡張末期容積指数は, 左室型が196±57ml/m2(平均±標準偏差), 右室型が175±64ml/m2であった. 心室収縮末期容積指数は, 左室型が95±34ml/m2, 右室型が84±29ml/m2であった. 駆出率は左室型が0.52±0.07, 右室型が0.51±0.08であった. 以上の3つの心室容積特性には, いずれも左室型と右室型の間に有意差を認めなかった. 心室壁厚は左室型では7.0±2.0mm, 右室型では3.6±1.5mmであり, 右室型が左室型に比し有意(p<0.001)に低値であった. 心室壁厚の心室短軸径に対する百分率は左室型では12.1±2.9%, 右室型では6.7±2.3%であり, 右室型が左室型に比し有意(p<0.001)に低値であった. 心筋重量指数(以下VMI)は, 左室型では167±50g/m2, 右室型では84±39g/m2であり, 右室型が左室型に比し有意(p<0.001)に低値であった. 心室拡張末期容積に対する心筋重量の比は, 左室型では0.88±0.19g/ml, 右室型では0.48±0.14g/mlであり, 右室型が左室型に比し有意(p<0.001)に低値であった. 左室型では肺体血流量比とVMIとの間にr=0.79, p<0.02の正の直線相関を認めたのに対し, 右室型では両者の間には相関関係を認めなかった. 以上の結果から, 右室型では左室型に比し, 容積負荷に対して心室壁の肥大による代償機転が十分でないことが示唆された.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 単心室症, 心室形態, 心筋重量, 心室造影法, 心室機能
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