Abstract : |
右上大静脈欠損を伴い左上大静脈遺残症を合併したsick sinus syndromeの55歳, 男子に対するペースメーカー植え込み術を経験した. 左, 右肘静脈からのアプローチでは, カテーテルを右室内に進めることができず, 結局右大伏在静脈から右室にカテーテルを挿入し, 一時ペーシングを行った. 後日, 静脈造影で上記上大静脈の奇形を確認し, 剣状突起下切開法により心筋電極に変更した. 術後6ヵ月の現在, 合併症はなく元気に復職している. 左上大静脈遺残症(persistent left superior vena cava, 以下PLSVC)は, 大静脈の奇形としては最も頻度が高いが, 左房へ開口する場合を除いて, 臨床的に問題となることは少ない. しかし, 開心術や経静脈的心臓ペーシングに際しては重要な問題で, 特に後者の場合にはペースメーカー植え込み中に偶然発見されることが多く, 電極操作に難渋するといわれる. 最近, われわれは右上大静脈欠損を伴いPLSVCを合併したsick sinus syndrome(以下SSS)の1例に対して, 剣状突起下切開法により心筋電極の植え込み術を行ったので, 若干の文献的考察を加えて報告する. |