アブストラクト(36巻2号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 左側迷走神経より発生した前上縦隔神経鞘腫の1例
Subtitle : 症例
Authors : 中村広繁, 堀尾裕俊, 若原秀雄, 石黒清介, 荒木威, 森透
Authors(kana) :
Organization : 鳥取大学医学部第2外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 36
Number : 2
Page : 252-256
Year/Month : 1988 / 2
Article : 報告
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 左側迷走神経より発生した前上縦隔神経鞘腫の1例を経験したので報告する. 症例は, 32歳男性で咳嗽を主訴として病院を受診し, 胸部異常陰影を発見され縦隔腫瘍の診断で手術した. 手術時, 左側上縦隔前方に迷走神経本幹より発生した腫瘍を認め, 腫瘍の上下の迷走神経を切断して摘出した. 病理組織診断は神経鞘腫であった. 術後合併症は, 術直後からの反回神経麻痺による嗄声だけで, 他の合併症は認められなかった. 迷走神経より発生した縦隔の神経原性腫瘍は, 非常にまれであり, 本邦報告例は本例を含めて文献上15例である. 術前診断は一般に困難であり, 手術時に迷走神経由来と判明することが多い. 術式は迷走神経温存をまず第一に考えるべきであるが, 腫瘍を完全に摘出するには大部分の症例で神経切断を余儀なくされると思われる. 縦隔に発生する神経原性腫瘍は, その多くが後縦隔に存在し, 交感神経や肋間神経由来のものが多く迷走神経よりの発生は非常にまれとされている. 最近, われわれは, 上縦隔前方に左側迷走神経より発生した神経鞘腫の1例を経験したので, その特徴と問題点を若干の文献的考察を加えて報告する.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 縦隔腫瘍, 迷走神経原性, 神経鞘腫, 反回神経麻痺
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