アブストラクト(36巻2号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 腫瘤影を呈した肺放線菌症の1手術例
Subtitle : 症例
Authors : 笹井巧, 小泉潔, 松島申治, 五味渕誠, 山手昇, 庄司佑
Authors(kana) :
Organization : 日本医科大学胸部外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 36
Number : 2
Page : 277-280
Year/Month : 1988 / 2
Article : 報告
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 症例は30歳, 男性, 胸部X-Pにて腫瘤影を呈し, 精査を行ったが確定診断が得られず, 悪性腫瘍も否定できないため, 肺部分切除術を行った結果, 病理組織標本で菌塊(Sulfur Granule)を証明し肺放線菌症と診断された. 放線菌症は病巣の部位によりcervico-facial type, abdominal type, thoracic type, と分類されているが, thoracic typeは, 一番少なく, このなかでも肺のみに病変を認めるものはさらに少なく, 確定診断がつきにくい. われわれの症例のようにレントゲン上, 腫瘤影を呈するものはまれで, 肺癌との鑑別も困難であり, 確定診断は開胸生検によらざるを得ないことが多い. 放線菌症は慢性の感染性の疾患で, 肉芽組織を形成し, その一部は軟化して膿瘍を形成し, 多数の菌から成る菌塊(Sulufur Granule)を含有することが特徴とされている. 放線菌は口腔内, 消化管に常在しており, 粘膜に損傷を生じた時, 病原性を示すことがあるといわれている. 放線菌は顔面, 頸部を侵すことが多く, 次いで腹部に多く, 胸部を侵す頻度は全放線菌症の約15%1)と言われている.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 肺放線菌症, 腫瘤影, 菌塊(sulfur granule)
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