Abstract : |
生後9ヵ月女児の混合型総肺静脈還流異常症に対して外科治療を行い, 術後経過良好な症例を経験したので報告した. 本症例は右上肺静脈の一部が上大静脈と接続し, 右上下肺静脈及び左上肺静脈は共通幹を形成し, 垂直静脈を介し門脈に還流していた. また左下肺静脈は共通幹とは別に垂直静脈を形成し門脈に流入する, 極めてまれなIb+III型であり, 著者らが調べ得た文献上, 最初の手術成功例と思われる. 総肺静脈還流異常症(Total anomalous pulmonary venous drainage, TAPVD)は, 新生児期及び乳児期早期に死亡する重篤な心疾患の1つである1). 本疾患は, 肺静脈の還流部位によって, 上部心臓型(Supracardiac type), 心臓型(Cardiac type), 下部心臓型(Infracardiac type)及び混合型(Mixed type)に分類2)され, 混合型の発生率は全TAPVDの10.5%と報告3)されている. 今回著者らは, 生後9ヵ月, 女児の混合型(Ib+III)総肺静脈還流異常症に対し外科治療を行い, 経過良好な症例を経験したので報告するとともに, 本邦における本疾患に対する外科治療について検討したので, 併せ報告する. |