アブストラクト(36巻3号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 判別分析による他臓器不全合併重症弁膜症手術の予後予測
Subtitle : 原著
Authors : 山田修, 数井暉久, 杉木健司, 中西克彦, 高木伸之, 柳谷晶仁, 馬場雅人, 松崎智哉, 佐々木孝, 小松作蔵
Authors(kana) :
Organization : 札幌医科大学胸部外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 36
Number : 3
Page : 297-301
Year/Month : 1988 / 3
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 肝, 腎, 肺機能不全及び心悪液質(以下C.C)など, 術前に他臓器不全を伴う重症弁膜症の手術成績を術前因子から予測するため, 多変量解析のうち判別分析を用いて検討した. 対象は, 1980年12月より1986年4月末日までに, 教室で外科治療を施行した弁膜症299例中42例(14.0%)であり, 男性18例, 女性24例, 年齢は46.5±8.6歳であった. 病脳期間は14.5±6.7年, NYHA分類III度17例, IV度25例であり, 術前心機能は著しく低下し, CI2.18±0.48l/min/m2, RA10.8±5.5mmHg, PA50.9±22.9mmHg, CTR66.7±10.6%であった. 不全臓器別では腎10例, 肝8例, 肺16例及びこれらの合併8例であり, C.C例は13例であった. 術式別では, 弁置換術が83%を占め, 再弁手術は30.9%, 三尖弁処置を必要としたものは42.8%といずれも高率であった. 術前肺不全例以外の他臓器不全例には高率に術後臓器不全の発症を認め, 殊に腎及び合併不全群では重症LOSを高率に認めた. 術後早期死は9例(21.4%)と多く, 腎及び合併不全群に集中し, 死因は不整脈, 腎不全, MOFなどであったが, 不整脈死以外はIABPを要した重症LOS症例であった. 術前心機能及び諸臓器機能に関する15因子から, 早期死群と非早期死群の判別分析を行った. 両群の判別効率を示すマハラノビスの距離(D2)は24.42029と大きく, 判別関数Z(X)のF検定ではF値7.33067(p<0.01)と有意であり, 両群は明らかに判別し得た. また, 判別関数の各係数に関する検定では, PCWP, CCr, BUN, %VCがp<0.01で有意であり, 特に判別に大きく寄与していると考えられた. 以上から, 術前15因子により得られた判別関数値により, 早期死に対する危険性を予測可能と考えられた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 他臓器不全, 多変量解析, 判別分析, 重症弁膜症, 判別関数値
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