Authors : |
安倍十三夫, 小松幹志, 荒木英司, 瓜田雷己, 松崎智哉, 柳谷晶仁, 岡本史之, 浅井康文, 杉木健司, 小松作蔵 |
Abstract : |
心房心室錯位(AVD)を伴う心奇形10例に対して心内修復術を施行し, 全例に生存が得られ, 症状の改善を認めた. 症例は, 男6例, 女4例, 手術時年齢5~42歳(平均16.2歳), 肺動脈狭窄(PS)7例, 肺高血圧(PH)3例である. 姑息手術は, Blalock吻合3例, 肺動脈絞扼術(PAB)1例である. 疾患別では, 単心室(SV)5例, 両大血管右室起始症(DORV)4例, 修正大血管転位症(C-TGA)1例であり, 右胸心合併3例で, SLL9例, IDD1例である. 手術は, DORV+PS(IDD)は, 解剖学的左室切開でPSの除去とVSDパッチ閉鎖した. SV+PH, C-TGAは右房切開, 僧帽弁を介して解剖学的右室側から縫合糸を掛ける方法で中隔形成を施行した. SV+PS3例, DORV+PS3例, SV+PH1例に対して, Fontan型手術として, 房室弁閉鎖, 肺動脈弁閉鎖, 右房と肺動脈吻合は後壁は直接右心耳と主肺動脈吻合し, 前壁はRyggブタ心膜を用いて吻合口の開大を計った. 術後は全例に症状の改善が得られ, 遠隔期(術後1~13年, 平均3.6年)でも死亡はない. 本症でPHを伴う症例では中隔形成を行い, deLeval法に準じた方法で完全房室ブロック(CHB)の発生はないが, 左側房室弁逆流(TR)を残した. PSを伴う大血管転位, 右胸心を伴うSV, DORV症例ではFontan型手術は, 人工弁, 人工血管の使用もなく, 術後にCHB, TRの逆流もなく有用な術式と考える. |