アブストラクト(36巻3号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 左房合併切除を行った進行肺癌22例の検討
Subtitle : 原著
Authors : 中川晴夫**, 赤荻栄一*, 三井清文*, 蘇原泰則*, 遠藤勝幸*, 堀原一*, 鬼塚正孝, 村山史雄, 船越尚哉, 鈴木有二***
Authors(kana) :
Organization : 筑波大学附属病院呼吸器外科, *筑波大学臨床医学系外科, **日立製作所水戸総合病院外科, ***筑波記念病院外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 36
Number : 3
Page : 330-336
Year/Month : 1988 / 3
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 1977年2月から1986年3月までの肺癌切除224例のうち隣接臓器合併切除例は66例で, そのうちの3分の1に当たる22例に左房合併切除を施行した. これらの肉眼的な左房と肺静脈基部への腫瘍浸潤の程度を, 肺静脈基部までにとどまると思われるものをI型, 左房内へポリープ状に突出するものをII型, 明らかに左房壁浸潤のあるものをIII型と分類した. 各型の術前診断は, ダイナミックCTスキャンを用いることにより可能で, その診断に基づいて手術準備及び術式の選択が的確に行われた. I型では鉗子下左房切除が行われたが, I型と診断した13例中の1例において術後組織診により左房壁への浸潤が明らかとなった. また肺静脈断端の癌遺残を防ぐためにも, I型でも左房を切除する必要があると考えられた. III型の1例に体外循環を用いて左房切除を行った. II型及びIII型では, 時には, このように体外循環の準備が必要となるが, 多くの症例では細心の注意を払えば鉗子下左房切除が可能であった. 術後合併症は不整脈の出現頻度が最も高く, 重篤な合併症として気管支瘻があった. これら術後合併症により22例中6例, 特に非治癒切除例では12例中4例が5ヵ月以内に死亡した. 一方, 肉眼的腫瘍浸潤度I型で相対的治癒切除のできた中心型扁平上皮癌では, 13例中4例が2年以上生存したため, これらの条件を満たす症例が左房合併切除の最も良い適応であると考えられた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 進行肺癌, 左房浸潤X線診断, 左房合併切除, 体外循環下左房切除, 進行肺癌術後生存率
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