アブストラクト(36巻3号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 開心術中にみられた重篤なプロタミンショックの経験
Subtitle : 症例
Authors : 高木正剛, 釘宮敏定, 黒岩正行, 宮川尚孝, 山内秀人, 柴田隆一郎
Authors(kana) :
Organization : 長崎大学医学部心臓血管外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 36
Number : 3
Page : 372-377
Year/Month : 1988 / 3
Article : 報告
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 開心術中のプロタミン静注に伴い一過性の血圧下降をみることがあるが, 大部分は輸液・輸血, カテコールアミン投与などで速やかに回復し, 重症ショックに至る例はまれである. 自験例はプロタミン投与歴のない油症患者の53歳男子で, 僧帽弁閉鎖不全に対し僧帽弁置換を行い, 順調に人工心肺から離脱して硫酸プロタミンの点滴静注を開始した直後に, 突然著明な気道分泌増加, 喘鳴, 気道抵抗増加, 血圧下降などのアナフィラキシー様症状が出現した. プロタミン中止, 薬物療法などの保存的治療は効果がなく, 心停止寸前にまで至ったが, 体外循環再開により速やかに回復した. 本例では右心系の著明な拡張と肺動脈圧, 中心静脈圧の著しい上昇がみられた反面, 右房圧にはほとんど変化がなく, プロタミンショックに特有な肺血管の強い収縮と体血管系の高度の拡張を伴う循環動態が認められた. プロタミンは体外循環後などのヘパリン中和に欠かすことのできない薬剤であるが, 本剤投与の副作用として一過性の血圧下降や徐脈を生じ得ることが知られている.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : プロタミンショック, 開心術合併症, ヘパリン中和, アナフィラキシー, 油症
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