アブストラクト(36巻3号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 悪性胸膜中皮腫に対する拡大胸膜肺全摘術の経験
Subtitle : 症例
Authors : 児玉憲, 土井修, 龍田眞行, 甲利幸, 寺沢敏夫
Authors(kana) :
Organization : 大阪府立成人病センター外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 36
Number : 3
Page : 429-434
Year/Month : 1988 / 3
Article : 報告
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 患者は51歳, 男性. 初回手術で悪性限局型胸膜中皮腫, 混合型と診断されたが, 主病巣の他に多中心性発生を思わせる小病巣を認め, 非治癒手術に終わった. その後, 徐々に左胸膜遺残病巣が増大し, 胸壁, 横隔膜及び心膜への浸潤を来し, 激痛のため活動度(performance status)は極端に低下した. 遠隔転移がみられないことから, 初回手術の2年後に, 胸壁, 横隔膜及び心膜合併切除を伴う胸膜肺全摘術を施行した. 本症例は多中心性発生の悪性限局型胸膜中皮腫, あるいは石綿曝露歴を有していることから, 極めて初期の時点で捕えられたびまん型中皮腫とも考えられた. 初回手術後3年を経過した現在, 局所での再発を認めず, 悪性胸膜中皮腫に対する外科治療の有用性を示唆する結果が得られた. 悪性胸膜中皮腫は抗癌剤や放射線治療に対し抵抗性で, 外科治療成績もまた不良である. 特に, びまん型中皮腫に対しては, 外科的介入が確定診断を得るための手段であったり, 極めて姑息的であったりする場合が多い.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 悪性胸膜中皮腫, 混合型, 胸壁浸潤, 横隔膜浸潤, 拡大胸膜肺全摘術
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