アブストラクト(36巻4号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 再灌流に伴う心筋内pHの変化について-心筋エネルギー代謝及び術後心機能との関係から-
Subtitle : 原著
Authors : 横山和則, 石原良, 岡田嘉之, 乙供通稔
Authors(kana) :
Organization : 山形県立中央病院心臓血管外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 36
Number : 4
Page : 503-507
Year/Month : 1988 / 4
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 心筋内pHモニターが臨床応用されつつある現状で, 心筋内pHモニターと心筋エネルギーレベル及び術後心機能との関係を調べ, 特に再灌流前後における心筋内pHについて検討を行った. 基礎実験では, 家兎摘出心をランゲンドルフ灌流下において下記3群に分け90分虚血30分再灌流を行い, 31P-NMR測定により心筋内クレアチン燐酸, ATPレベル(%コントロール)及びpHを調べて各種心筋保護下でのpHとエネルギーレベルの関係を求めた. I群;局所冷却単独(15℃), II群;局所冷却及び非酸素加晶質性心停止液冠灌流(K+25mEq/l, pO2<150mmHg), III群;局所冷却及び酸素加同晶質性心停止液冠灌流(pO2>600mmHg). 更に, 臨床例に対して, 成人開心術症例23例を対象とし, 先のIII群と同じ心筋保護下に左室心筋内pH測定を行い, 再灌流直後の心筋内pH7.0以上のA群とpH7.0未満のB群に分け, 術後心機能との関連性を調べた. 基礎実験では2), 再灌流直後よりII, III群の心筋内pHが正常化したのに対し, I群はpH平均7.23と低値を維持した. 同時に測定した心筋ATPレベルも, II,III群では両灌流後平均80%以上を示したのに対し, I群は同30分時でも平均55%と回復不良であった. 更に, 臨床例においては, 再灌流直前→直後の心筋内pH変化がA群平均7.06→7.30なのに対しB群平均6.71→6.71とA群の回復に比べB群では再灌流によるpH回復が認められなかった. また, 術後LOS発生との関係でも5例中4例がB群に属していた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 心筋内pH, 31p-NMR, 心筋保護, 再灌流, ATP
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