Authors : |
佐々木昭彦, 岩田美佐男, 渡辺敦, 菊地誠哉, 井上紀雄, 横山秀雄, 岡本史之, 杉木健司, 安倍十三夫, 小松作蔵 |
Abstract : |
Ca2+拮抗薬(ジルチアゼム)を血液心筋保護液に添加(1群=0μg/ml, 2群=5μg/ml, 3群=10μg/ml, 4群=15μg/ml, 5群=20μg/ml)し, energy depleted heartに対する心筋保護効果及び至適濃度について検討した. 高エネルギーリン酸化合物は, ジルチアゼム濃度に比例して高く保存され, 細胞膜のCa2+channelの抑制による細胞内へのCa2+流入減少によって, ATPase活性化が抑制されることが関与するものと考えられた. また, ジルチアゼムは再灌流初期の心筋組織のCa2+取り込みを抑制することが確認された. ジルチアゼムは血液心筋保護液に添加すると, 虚血後の左室機能の回復を増強し, 特に, 左室最小dp/dtの回復は左室最大dp/dtの回復を上回った. すなわち, 虚血後の左室機能の回復には, ジルチアゼムの拡張機能に及ぼす作用が強く影響を与えているものと考えられた. しかし, 虚血後の高エネルギーリン酸化合物含量と心機能の回復は相関するとは限らず, 4群, 5群ではジルチアゼム過量に基づくnegative inotropic actionが示唆された. 血液心筋保護液におけるジルチアゼム至適濃度は, 心筋高エネルギーリン酸化合物代謝と心筋組織のCa2+蓄積抑制効果及び左室機能の回復率よりみて5~10μg/mlと考えられた. |