アブストラクト(36巻4号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 膿胸を併発した転移性肺腫瘍の1治験例
Subtitle : 症例
Authors : 多田弘人, 水田隆俊, 井内敬二, 森隆, 沢村献児
Authors(kana) :
Organization : 国立療養所近畿中央病院外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 36
Number : 4
Page : 537-540
Year/Month : 1988 / 4
Article : 報告
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 転移性肺腫瘍の中心性壊死部が胸腔へ穿破し, 急性の続発性膿胸となった症例を経験した. 膿胸腔は, 大量の膿汁により充満し, その中にKlebsiella pneumoniaeが証明され, 当初は治療困難であると判断された. しかし, 約1ヵ月間の胸腔ドレナージにより膿胸腔の縮小が得られ, また, 全身状態も良好に保たれていたため, 右肺全剔及びリンパ節郭清を施行し得た. 更に, 術後にイソジン液などによる胸腔洗浄を繰り返し, 術後膿胸の併発を免れることができた. 有菌性の膿胸症例に対する肺切除は, 大きな遺残腔を残すため術後膿胸の発生率が高くなると考えられる. しかし, 急性膿胸であり有効な抗生剤が投与し得られ且つ, 胸腔ドレナージにより膿胸腔の縮小が得られるならば, 肺切除を行うことが可能であると考えられた. 肺悪性腫瘍の進行期において, 末梢肺に閉塞性肺炎を生じたり, 中心性壊死から肺化膿症を併発することはしばしばみられる. しかし, これが胸腔内に穿破して膿胸を併発することは比較的まれである.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 転移性肺腫瘍, 続発性膿胸, 胸腔ドレナージ, 術後膿胸
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