Abstract : |
Senning手術は, 大血管転位症(d-TGA)に対する根治的外科治療として約20年以上の歴史を有し最近では手術成績も向上し, 術後不整脈の合併症の頻度も著しく低下している. しかし, 術後長期遠隔期における右心室の体循環系心室としての機能にはいまだ疑問が残っている. 今回, われわれはSenning手術4年後に右室機能不全(RVEDV=397% of normal, RVEF=0.5), 三尖弁逆流(III°)のため心不全に陥ったd-TGA(II型)の症例に対し, 予備手術(左心室トレーニング)として肺動脈絞扼術施行後10ヵ月目に左心室を体循環系心室とするよう, Senning手術解除術及びJatene手術(Lecompte変法)を同時に施行し良好な結果を得た. 術後心カテにて, 右室機能は正常化し, 三尖弁逆流も消失した. またリズムスタディでは, Senning術後%SNRT=143%, SACT=107msecと洞不全症候群を認めていたが, Jatene術後は, %SNRT=125%, SACT=49.7msecとSA node機能, 心房内伝導能ともに正常域に復した. |