Abstract : |
本症としては, 高齢者に属する, 大動脈弁下兼肺動脈弁下心室中隔欠損, 肺動脈弁並びに肺動脈弁下狭窄を伴ったSDL型両大血管右室起始症と診断された, 31歳の男性に対して, Rastelli型手術を施行し, 良好な結果を得た. 手術は, 約40mm径のdoubly committed typeのVSDと, 大動脈弁口間にTeflon patchによるinternal conduitを作成し, 更に肺動脈及び右室流出路狭窄に対し, 右室切開部と肺動脈間にHancock弁付22mm人工血管によるexternal conduitの作成を行った. 術後経過は順調で, 術後5年の現在, 日常生活に支障なく元気に仕事を続けている. 両大血管右室起始症(Double Outlet Right Ventricle, DORV)は大動脈と肺動脈がともに右室より起始する, 極めてまれな先天性心疾患である. しかし, 近年, 診断技術の進歩とともに種々のtypeのDORVが報告されるようになり1)~4), その外科治療においても個々の病型に応じた手術術式5)~7)が考慮されるようになった. |