アブストラクト(36巻6号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 大動脈弁閉鎖不全症術後遠隔期における運動負荷時左室機能の検討
Subtitle : 原著
Authors : 丹志城, 川島康生
Authors(kana) :
Organization : 大阪大学医学部第1外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 36
Number : 6
Page : 860-869
Year/Month : 1988 / 6
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 大動脈弁閉鎖不全症の弁置換術術後遠隔期においてエルゴメーターによる多段階運動負荷(予測最大心拍数の85%)を行い, これに対する左室機能動態を検討した. 安静時(R)並びに運動負荷直後(EX)に仰臥位にて心エコー法を用い, 左室収縮末期横径(ESD), 左室拡張末期横径(EDD), Fractional shortening(%FS), 平均円周短縮速度(mVcf)を測定し, R時に対するEX時の%FS, mVcfの変動をそれぞれの変化量(Δ)とした. 本症術前左室造影で得られた左室末期容積(ESVI)100ml/m2末満の7例をA群, 100ml/m2以上の6例をB群とした. 健康成人9例を正常対照群(C群)とした. 1)EX時の収縮期血圧, double productはA群161±33mmHg, 19,011±4,350mmHg・beat/min, B群172±39mmHg, 21,698±6,176mmHg・beat/min, C群141±11mmHg, 20.766±1,463mmHg・beat/minであり, 三群間に有意差を認めなかった. 2)R時の%FS, mVcfはA群36±10, 1.0±0.3circ/sec, B群29±1, 0.8±0.0circ/sec, C群33±4, 1.7±0.3circ/secであり, 三群間に有意差を認めなかった. 3)EX時のΔ%FS, ΔmVcfはA群8±5, 0.5±0.2circ/sec, B群0±2. 0.1±0.3circ/secであった. A群はB群に比し有意(p<0.005, p<0.025)に高値であったが, C群(12±3, 0.8±0.2circ/sec)に比し低値であった. 4)術前EFと術後Δ%FS並びにΔmVcfとはそれぞれ有意の相関が認められた(p<0.01, p<0.01). 同様に術前ESVIと術後Δ%FS並びにΔmVcfとはそれぞれ有意の相関が認められた(p<0.05, p<0.01). 以上のことより, 本症術後運動負荷に対して良好な左室予備能を期待するには少なくとも術前ESVIが100ml/m2を越える以前に手術を施行すべきであると考えられた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 大動脈弁閉鎖不全症, 手術至適時期, 心エコー法
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