アブストラクト(36巻6号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 他臓器不全を伴う重症弁膜症手術の遠隔成績
Subtitle : 原著
Authors : 山田修, 数井暉久, 佐々木孝, 中西克彦, 高木伸之, 原田英之, 横山秀雄, 山岸真理, 岡本史之, 小松作蔵
Authors(kana) :
Organization : 札幌医科大学第2外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 36
Number : 6
Page : 974-979
Year/Month : 1988 / 6
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 教室で1980年12月より1986年7月までに外科治療を施行した他臓器不全合併重症弁膜症44例の遠隔成績について検討した. 対象は男性19例, 女性25例, 平均年齢46.3±8.5歳であり, 術前の病悩期間は14.5±6.7年, NYHA重症度分類はIII度18例, IV度26例であった. 臓器不全別では, 腎不全10例, 肝不全8例, 肺不全18例及び複数合併8例であり, うち14例は心臓悪液質症例であった. 術式別では, MVR12例, MVR+TAP7例, OMC+TAP4例などで, 再弁手術は30%, 三尖弁処置は45%であった. 術後早期癌は9例, 20.5%であり, 内訳はMOF4例, 腎不全3例, 不整脈2例などで, 不整脈死以外の7例には術後LOSのためIABPを行った. 早期死, 非早期死例の比較では, 術前年齢の高さ, 術前腎不全の重篤さ及び体外循環の長さなどが危険因子と考えられた. 遠隔死は6例(6.5%/P-Y)に認められ, 術前肺不全3例, 腎不全2例, 肝不全1例で, うち2例は心臓悪液質例であった. 死因はPVE2例, 突然死2例及び脳血栓・塞栓症, うっ血性心不全各1例で臓器不全が直接の原因ではなかった. 現在生存29例のactuarial survival rateは5年で64.5±7.5%であり, 術後の心機能, 各臓器機能及び栄養障害は有意(p<0.05)に改善し, 90%以上がNYHA分類でI, 又はII度に回復した. 以上の結果, 本症に対する外科治療の早期成績は, 現在, なお不良であるが, 遠隔期における回復は十分予想されるため, 積極的に外科治療を行うべきであり, 治療成績向上のためには, 早期成績の向上が第1であり, 的確な術前評価により早期死の危険性を予測し, 臓器不全対策, 特に術後MOF対策の確立が重要, 且つ急務と考えられた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 他臓器不全, 重症弁膜症, 心臓悪液質, 遠隔成績, 臓器不全対策
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