アブストラクト(36巻6号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 正常な気管支系を有する左肺下葉への大動脈からの異常血管分枝の1例
Subtitle : 症例
Authors : 木村秀, 宇山正, 三浦一真, 高橋敬治, 原田邦彦, 門田康正
Authors(kana) :
Organization : 徳島大学医学部第2外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 36
Number : 6
Page : 1012-1016
Year/Month : 1988 / 6
Article : 報告
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 体動脈系からの肺への異常血管分枝は肺分画症にみられる特徴的な所見の1つとされている. われわれは正常な気管支系を有する肺に大動脈からの異常血管分枝が流入していたまれな症例を報告する. 症例は53歳, 男性, 集団検診の胸部X線にて腫瘤影を指摘され, 聴診上異常なく手術により腫瘤は胸部下行大動脈より拡張蛇行した異常動脈が左下葉に流入したものと判明した. 左下葉の気管支に異常はなく肺動脈はA9, A10が欠損していた. S6, S8の肺の表面は正常であったがS9, S10の表面には毛細血管の拡張が認められた. 肺血管の異常のうち, 大動脈からの直接の分枝が肺組織に流入する例を1777年Huberが報告した. その後肺分画症などの概念の導入によりPryceは, 1)正常肺組織に異常動脈が流入するもの, 2)分画肺組織及びそれに接している正常肺組織に流入するもの, 3)分画肺組織のみに異常動脈が流入するもの, の3型に分類している. 今回, 集団検診にて胸部X線で腫瘤影を指摘され, 手術により腫瘤は左下葉の正常肺組織に大動脈よりの拡張蛇行した異常動脈が流入したものと判明した症例を経験したので, 若干の文献的考察を加え報告する.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 肺分画症, Pryce I型, 腫瘤影, 異常血管
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